行政書士資格の概要と試験情報

行政書士
アウトライン
●資格分類:国家資格、業務独占資格
●受験メリット:年齢・学歴制限無
●取得メリット:独立に有利、高収入を狙える
●難易度:レベルA
●合格率:10%前後
●必要学習時間:800~1000時間
●試験日:11月
(注)難易度レベルについて
SS(超々難関)、S(超難関)、A(難関+)、B(難関)、C(普通)、D(簡単)、E(超簡単)の7段階評価。SSは弁護士・公認会計士クラス、Sは司法書士・税理士クラス、その他の資格をレベルA~Eにランク分けしています。



行政書士とは?

行政書士は行政書士法に基づく国家資格で管轄は総務省です。

個人や法人の依頼を受けて、官公署に提出する許認可等の申請書等を作成したり、その提出手続きを代行したりすることが主な業務です。

作成できる書類の種類は膨大で広範囲(1万種ともいわれています。)の分野に及んでいます。

ちょっと例を挙げてみましょう。

《許認可申請関連》

建設業許可申請書
宅地建物取引業免許申請書
飲食店営業許可申請書
風俗営業許可申請書
医療法人設立申請書
建築確認申請書
産業廃棄物許可申請書
etc.

《会計関連》

会計帳簿(但し、一部例外を除き青色申告書等税務関連書類は作成できません。)

《外国人・入国関連》

帰化許可申請書
永住許可申請書
在留期間更新許可申請書etc.

《その他》
売買契約書
遺産分割協議書
etc.

皆さんが会社を設立する場合、お店を開く場合、そして契約書のような権利関係書類を作成しなければならない時に、我々をサポートしてくれるのが行政書士です。

この他に、法律関連のコンサルタント的業務や成年後見業務等も重要な役割の一つとなっています。

行政書士資格の魅力・メリットと将来性

資格試験としては、

受験資格に制限がない

宅建も同様ですが、年齢・性別・学暦・国籍・実務経験等の制限が一切なく誰でも受験できます

全ての人に門戸が開かれています。

次に資格取得後としては、

独立後も自分の得意分野を生かせる

概要でも触れていますが、活躍できる分野は広く、扱える書類は膨大です。

弁護士、司法書士、税理士等の他士業の法律に抵触してしまうような業務は扱えませんが、その点に留意すれば本人のアイデア次第、努力次第で多種多様なビジネスチャンスを創出していけます

社会人の方であれば独立開業するまでの経験を生かして関わってきた業務周辺の仕事に特化していくことで強みを発揮できます。

年々増え続ける外国人をターゲットに得意な語学を生かして入国関連業務等に特化し、国際行政書士(注)として活躍されるような方も今後ますます増えていくでしょう。
(注)国際行政書士という資格があるわけではありません。

社会保険労務士の受験資格を得られる

社会保険労務士資格は非常に価値ある資格ですが、受験制限が厳しい点が難点です。

誰でも受けられるわけではなく、

1.学歴
2.実務経験
3.厚生労働大臣の認めた国家試験合格

以上、3つの要件のいずれかに該当しなければ受験できません。

学歴要件は原則短期大学卒以上ですので学歴要件を満たさない方の場合、実務経験もしくは厚生労働大臣の認めた国家試験合格のいづれかの要件を満たす必要があります。

行政書士試験合格は後者の要件を満たしますので社労士の受験資格を得ることができます

他の法律系資格取得への足掛かりとなる

大学等で法律を学んでいない方がいきなり司法書士のような難関資格に挑戦して合格という栄冠を手に入れることはなかなか困難です。

その点行政書士試験は難易度的には司法書士ほど高くはありませんので、まず行政書士を取得し、法律とはどういうものかを知った上で司法書士等にチャレンジするという流れは無理がない流れです。

将来性

各種書類の電子化が進む中、旧態依然とした代書屋的なところだけで戦っていこうとするのであれば今後は厳しいと言わざるを得ません。

今後、成功するためには、プラスαのスキル、例えば語学スキルを磨いて今後ますます増加していくであろう外国人をターゲットにした各種申請業務に特化したり、中小企業診断士とのダブルライセンスで各種申請を入り口に会社とコンサル契約を結んだり等の工夫が必要不可欠になってくると思われます。

行政書士資格の活用法

資格を取得できればすぐに独立は可能です。

しかし、現実的には余程才覚のある方以外は成功する可能性は限りなくゼロに近いと思われます。

まずは行政書士事務所で勤務し、しっかり仕事を覚えた上で独立する流れが自然です。

行政書士資格は「資格取得=独立」的なイメージが強い資格でしたが、最近は行政書士法人も大型化してきていますので、その中で勤務行政書士としてステップアップを目指すという選択肢もこれからは増えてくると思われます。

行政書士の収入

行政書士の年収に関しては公的な調査結果は見当たりません。

以前、日本行政書士会連合会が会員に対して実施したアンケート結果では、
~500万円未満が約78%、
500万円以~1000万円未満が約11%、
1000万円~が約11%
という構成比となっています。

中小企業診断士のアンケート調査結果がありますので比較してみました。
上記の年収帯に合わせて集計してみると、
~500万円未満が約27%、
500万円~1000万円未満が約35%、
1000万円~が約38%
という構成比となりました。

この結果を見て、むむ、診断士に比べるとかなり低いと思われる方が多いかもしれませんね。
しかしこの結果はある程度仕方がない部分があります。
中小企業診断士の調査も開業診断士と企業内診断士を区別していない調査です。

経営に関する資格ということで、企業内診断士として活躍されている方達の年齢は高めで、かつ経営者・管理職の占める割合もかなり大きいので数値が高くなります。

それとは逆に行政書士の場合、将来の独立の為に仕事を覚える目的で行政書士事務所に勤務されている年収300万円未満の方達が多いのでどうしても数値は低くなりがちです。

その辺を考慮すれば、実態としては両者に調査結果程の差はないのではないかと思います。

目指すは上位10%に入ること、年収1,000万円です。

行政書士試験の概要

行政書士試験は平成12年度から一般財団法人行政書士試験研究センター総務大臣から指定を受け、各都道府知事県の委任のもとに実施されています。

ここでは試験概要について提示しておきますが、詳細については必ず一般財団法人行政書士試験研究センターのサイトにてご確認下さい。

試験案内掲載・配布

試験案内は毎年7月第2週に公示されます。
その内容は一般財団法人行政書士試験研究センター、もしくは各都道府県のサイトで確認できます。
郵送は例年8月初旬から、各都道府県庁、各都道府県行政書士会等にて配布されます。

受験申込受付期間

インターネット、郵送共、例年8月初旬から受付開始です。

受験資格

年齢、学歴、国籍等に関係なく誰でもでも受験できます。

試験場所

現住所(住民票記載住所地とは無関係)

試験日

年1回、例年11月の第2日曜日です。

試験時間

午後1時から午後4時までです。

試験科目及び試験方法

出題数は全部で60問で、内訳は次のようになっています。

行政書士の業務に関し必要な法令等

●憲法
●行政法
●行政手続法
●行政不服審査法
●行政事件訴訟法
●国家賠償法
●民法
●商法
●基礎法学
の中から択一式又は記述式46問が出題されます。

行政書士の業務に関する一般知識等

●政治・経済・社会
●情報通信・個人情報保護
●文章理解
の中から択一式14問が出題されます。

合格判定基準

試験科目 出題形式 出題数 満点
法令等 5肢択一式 40問 160点
多肢選択式 3問 24点
記述式 3問 60点
46問 244点
一般知識等 5肢択一式 14問 56点
合計 60問 300点

下記3要件をすべて満たした場合に合格となります。

1.法令等の得点が122点以上である者
2.一般知識等の得点が24点以上である者
3.合計得点が180点以上である者

但し、上記要件は原則で年度により補正が加えられることがあります
当該年度の詳細は一般財団法人行政書士試験研究センターのHPでご確認ください。

合格発表

例年、翌年の1月第5週です。

行政書士試験の合格率・学習時間・難易度

行政書士資格試験の難易度を合格率と合格に必要だと言われている学習時間からみてみましょう。

合格率

次の表は2008年から2017年までの合格率の推移です。

年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率
2008 79590 63907 4133 6.5%
2009 83819 67348 6095 9.1%
2010 88651 70586 4662 6.6%
2011 83543 66297 5337 8.1%
2012 75817 59948 5508 9.2%
2013 70896 55436 5597 10.1%
2014 62172 48869 4043 8.3%
2015 56965 44366 5820 13.1%
2016 53456 41053 4084 9.9%
2017 52214 40449 6360 15.7%
平均 70712 55826 5164 9.7%

受験者数が2010年の70,586人をピークとして平成29年には40,449人にまで減少しています。

この状況はちょっと気になるところですね。

原因としては、

平成12年度の新試験制度移行後、思考力を問われる問題が多くなり難易度が格段に上昇してしまった為に、手軽に受けるというわけにはいかなくなったことと、この数年、景気回復により一般企業への就職率がアップしたこと等が考えられます。

合格率の平均は約9.7%です。

学習時間

最近は難易度が高くなってきていますので、初学者の場合は800時間~1,000時間は要すると言われています。

難易度

難易度はレベルB(限りなくAに近い)です。

難関資格と言われている司法書士の場合は必要とされる学習時間は2000~3000時間程度と言われていますから、それから比べれば比較的短期間での合格を望めます。

しかし、新試験制度への移行もあり、かつ司法試験や司法書士の受験組もかなり増加しているようなので、以前と比べると難易度がかなりアップしてきていることは否めません。

問題が単純だった頃は、勢いで受かるということがあったかもしれませんが、現在ではかなり本格的に法律に向き合っていく覚悟がなければ受からないレベルになってきています。

行政書士登録

行政書士になる為には下記2条件を満足し日本行政書士会連合会に備えられている名簿に登録されなければなりません。

1.行政書士法第2条の各号の資格要件(行政書士試験合格者等)のいづれかに該当すること
2.行政書士法第2条の2の欠格事由(未成年者等)に該当しないこと

資格要件と欠格事由の詳細は日本行政書士会連合会のHPのこちらのページで確認できます。

行政書士と相性がいい資格

司法書士

資格試験という点では、行政書士の試験科目である憲法、民法、会社法、商法は司法書士試験の試験科目でもありますので学んだことを十分に生かせるメリットがあります。

仕事の面でも、例えば行政書士が会社設立関連の業務を請け負った場合、設立登記の部分は司法書士の業務範囲ということでしばしば問題になりますがその点をクリアーできますし、司法書士側から見れば行政書士の守備範囲の広さを享受できるというメリットを有している組み合わせです。

宅地建物取引士

資格試験という点では、民法が共通科目でメリットがあり、行政書士の扱う許可申請には不動産関連のものも多いので、不動産の専門家としての宅地建物取引士の知識が役立ちます。

社会保険労務士

資格試験という点では共通の試験科目がありませんのでメリットはあまりありません。
しかし、仕事の面においては、
行政書士は役所に提出する書類の作成、事務の代行が主業務、社会保険労務士は役所に提出する社会保険、年金、人事・労務関連の書類の作成、事務の代行が主業務という点で、両者に共通点があります。 この2つの資格を持つことにより税務関連等他の士業の業務独占に関わる書類は別として会社が役所に提出しなければならない書類をより多く扱えることになりますのでシナジー効果は大です。

ファイナンシャル・プランナー

遺産分割協議書作成等相続関連の業務を請け負う際にファイナンシャル・プランナーとしての知識が大いに役立ちます。

中小企業診断士

行政書士の場合は各種許認可申請を請け負うという業務の性格上、営業という点では強みがありますが、その後、どうビジネスを広げていくかという点となると行政書士の業務範囲だけでは少々難儀なものがあります。

その弱点を補完してくれるのが中小企業診断士の資格です。

まず行政書士の業務の特性を生かしてクライアントと接点を持ち、その後、コンサルタントとして企業経営の部分に深く食い込んで信頼を得ていきクライアントに長いおつきあいをしていただく。

この両者の組み合わせ、かなり理想に近いダブルライセンスです。

TOEIC・英検

日本を訪れる外国人の増加に伴い帰化許可申請、永住許可申請、在留期間更新許可申請etc.の案件も増加の一途を辿っていくと考えられます。

「将来性」のところで既述ですが、そのような状況をチャンスと捉えそれらの業務に特化していくことは将来性のある戦略と言えます。

その為に不可欠なスキルが語学力。

必ずしも資格を取得する必要はありませんが、語学学習のモチベーションを高める為にも一つの目標として語学試験にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

行政書士関連サイトリンク集

行政関連

官報

関係機関

日本行政書士会連合会
一般財団法人行政書士試験研究センター
法テラス

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