宅地建物取引士資格の概要と試験情報

宅地建物取引士
アウトライン
●資格分類:国家資格、業務独占資格、必置資格
●受験メリット:受験制限無
●取得メリット:就職・転職に有利、独立に有利、高収入を狙える
●難易度:レベルC
●合格率:15%前後
●必要学習時間:250~350時間
●試験日:10月
(注)難易度レベルについて
SS(超々難関)、S(超難関)、A(難関+)、B(難関)、C(普通)、D(簡単)、E(超簡単)の7段階評価。SSは弁護士・公認会計士クラス、Sは司法書士・税理士クラス、その他の資格をレベルA~Eにランク分けしています。



宅建士とは?

一般的に親しまれている「不動産屋さん」さんという呼び名、細かいことを言わせていただければ「宅地建物取引屋さん」と呼んだ方がより実態に近くなるかもしれません。

宅地建物取引士の説明に入る前に、その宅地建物取引業とはどのような仕事なのかについて簡単に触れておきます。

宅地建物取引業とは、
自己所有の宅地・建物を自ら売買・交換すること、または他人が宅地建物を売買・交換・賃貸する際に、その代理(注1)もしくは媒介(注2)することを業として行う(注3)ことです。

自己所有の宅地・建物を自ら賃貸する場合は宅建業には該当しないので、アパートの大家さんが自己物件を宅建業者を通じて賃貸する場合は宅建業には該当しません。

上記のようなアパートの大家さんは不動産業ではありますが宅地建物取引業ではないわけです。

一般的には宅地建物取引業と不動産業は同意として扱われることが多いかと思いますが、正確には宅地建物取引業は不動産業という概念の一部となります。

その他の不動産業の代表的な例としては、例えば、皆さんがお住いのマンションの管理業者等があります。

さて宅地建物取引業の概念はある程度ご理解いただけたと思いますので、次に宅地建物取引士とはどのような資格なのかを見ていきましょう。

あえて説明する必要もないほど認知度の高い資格ですから名称についてはご存じの方も多いかと思います。

宅地建物取引士(略称:宅建士)は宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者で、所轄官庁は国土交通省です。

既述のように宅地建物取引士は物件の売買や賃貸の媒介等を主業務としています。

その際、宅地建物取引業者はお客様が安心して売買等を行うことができるよう、該当物件についてお客様が事前に知っておかなければならない情報を「重要事項説明書」という書類に記述した上で記名・捺印し必ずお客様に提示し説明しなければならないと法律に定められています。

この「重要事項の説明」はお客様を保護する為の重要な規定ですので国家資格者たる宅地建物取引士がしなければならないことになっています。

皆さんがマンション等を売買したことがあるのであれば、宅地建物取引証を提示した宅地建物取引士から「重要事項の説明」を受けているはずです。

このように宅地建物取引士は重要な役割を担っていますので宅地建物取引業を営む際には事務所毎に5人に1人以上の宅地建物取引士を置くことが法律で義務づけられています。
6人でも2人以上が必要ということです。

皆さんが街でよく見かけるモデルルームの案内所にも専任の宅地建物取引士が1人以上いなければなりません。

それほど宅地建物取引士は宅地建物取引業においてはキーマンとして位置づけられているわけです。

以上が宅地建物取引士についてのアウトラインです。

宅地建物取引士が宅地建物取引業においてはなくてはならない存在であり、そして不動産関連業界で働く者にとっては重要度の高い資格であるということをご理解いただけたでしょうか?

(注1)代理とは、本人に代わって契約を締結することです。

(注2)媒介とは、売買であれば売主と買主、賃貸であれば貸主と借主を引き合わせることです。代理のように契約締結権はありませんので実際に契約を締結するのは当事者同士となります。

(注3)業として行うとは、不特定多数者に反復継続して行うことです。

宅建士資格の魅力・メリットと将来性

受験資格に制限がない

上記のようないくつかのメリットを有しながら、年齢・性別・学歴・国籍・実務経験等の制限が一切なく誰でも受験できます。
この点は非常に魅力的なポイントですね。努力すれば誰でもスタートラインに立てます。

宅地建物取引業を営む際には不可欠な資格である

土地の売買や賃貸は我々の生活には欠かせないものです。
今後も宅地建物取引業自体のニーズがなくなることはありません。
ということは宅地建物取引士も同様、今後も必要とされ続ける資格ということになります。

就職や転職時に有利になる

宅建資格が不動産業界にとって必要不可欠な資格であることは前項の内容からある程度ご理解いただけたと思います。
これから不動産業界への就職や転職を目指している方達は事前に取得しておけば有利であることは間違いありません。
不動産業界のみならず不動産に関係の深い金融業界や建設業界にとっても価値ある資格です。

資格手当が支給される

不動産業界であれば月々1~5万円程度の資格手当が支給される可能性があります。
これは大きなメリットです。

独立が可能で高収入を狙える

マージン商売ですので比較的少ない資金で独立が可能です。
賃貸専門であればローリスクでかなり手堅い商売ができますし、売買メインであれば売買対象が高額ですから少人数でも大きな売上を上げることが可能で高収入を狙えます。

他の法律系資格取得への足がかりとなる

法律には一種独特の表現や考え方があります。
学校で法律を学んでいない方がいきなり行政書士や司法書士に挑戦しても苦戦することが多いかと思います。
その点宅建試験は難易度もそう高くなく法律とはどういうものかを知るにはちょうどよいレベルです。
まず宅建を取得して次のステップに進んでいくというプロセスは無理がない流れです。

自己啓発に役立つ

昨今、サラリーマン大家さんがブームになっていますが、宅建は不動産の基礎知識を身に着けるにはピッタリの資格ですし、保有資産の運用管理スキル向上に大いに寄与してくれるはずです。

将来性も問題なし

景気の浮き沈みに多少左右されることはあるでしょうが、必置資格の代表的存在ですから、今後も宅建士の需要が大きく衰えることは考えにくく、将来的に不安のない資格です。
人生を変えようと思い立った時、リスタートラインに立つ為の大きな武器となる資格です。
毎年の受験者が20万人前後という人気資格、チャレンジする価値は大です。

宅建士資格の活用法

不動産業界は当然として土地投資を行う金融業界にも活躍の場があります。就職した会社で不動産ビジネスの基本を習得し独立開業するルートもよく見られるパターンです。

宅建士の収入

不動産業界関連の平均年収は他業界と比較しても高いグループに属します。独立開業した場合、賃貸中心であれば安定した収入が、売買中心であれば不動産という高額な商品を扱うマージンビジネスですから営業努力次第で高収入の道が拓けています。

宅建士試験の概要

試験は国土交通大臣から指定を受けた指定試験機関一般財団法人不動産適正取引推進機構が、各都道府県知事の委任のもとに実施しています。
一応、試験情報の概要を記述しておきますが、
該当年の試験実施情報は原則、6月の第1金曜日に官報又は一般財団法人不動産適正取引推進機構のHPに詳細が掲載されますので、必ずそちらでご確認下さい。

受験資格

年齢・性別・学歴・実務経験等の制限はありません。
誰でも受験可能です。

試験案内の配布

インタネットの場合:原則、7月1日~15日
郵送の場合:原則、7月1日~31日

受験申込受付

インタネットの場合:原則、7月1日~15日
郵送の場合:原則、7月1日~31日
試験は年1回しかありません。
不動産関係の方はうっかり申し込みを忘れてしまうようなことはないと思いますが、仕事が忙しい場合等、けっこう忘れがちです。
忘れると1年を無駄にしてしまいます。
7月末期限ということを頭に入れておきましょう。

試験会場通知送付

8月頃

受験票送付

9月末頃

試験地

原則、住んでいる都道府県での受験です。(受験申込時に当該都道府県内に住所を有することが必要です。)

試験日

年1回、10月の第3日曜日

試験時間

午後1時~午後3時の2時間
但し、登録講習修了者(注)は
午後1時10分~午後3時の1時間50分
途中退出はできません。

(注)講習関係についてはこちらでまとめてあります。↓

宅建士関連の講習(登録講習・登録実務講習・法定講習)について
宅建士関連には、下記の3つの講習が存在します。 ・登録講習 ・登録実務講習 ・法定講習 順に説明していきます。 登録講習 概要 「5点免除講習」とも呼ばれている講習で、宅地建物取引業に従事している方対象の講習です。 講習...

試験方法

筆記試験のみです。四肢択一式のマークシート方式50問出題されます。
但し、登録講習修了者は5問の免除があり45問です。

試験内容

以下の7分野から出題されます。

1.土地の形質、地積、地目および種別ならびに建物の形質、構造および種別: 土地や建物について不動産に関わる者としての常識的な知識

2.土地および建物についての権利および権利の変動に関する法令: 民法、不動産登記法、借地借家法、区分所有法など

3.土地および建物についての法令上の制限: 都市計画、国土利用計画法、都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法、土地区画整理法、農地法など

4.宅地および建物についての税に関する法令: 登録免許税、印紙税、所得税、固定資産税、不動産取得税など

5.宅地および建物の需給に関する法令および実務: 住宅金融支援機構法、不当景品類及び不当表示防止法、統計など

6.宅地および建物の価格の評定: 不動産鑑定評価基準、地価公示法など

7.宅地建物取引業法および同法の関係法令: 宅地建物取引業法、同施行令・施行規則など

(注1)法令はその年の4月1日の時点で施行されていたものを根拠とします。

合格発表

原則、12月の第1水曜日又は11月の最終水曜日に都道府県毎に発表されます。

宅建士試験の合格率・学習時間・難易度

宅地建物取引士資格試験の難易度を合格率と合格に必要だと言われている学習時間からみてみましょう。

合格率

下記表の対象期間は2009年から2018年、
一般受験者対象、登録講習終了者対象、全体の3表に分けて表示しています。

一般受験者

実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格点
2009 201,185 158,909 25,192 15.9 33
2010 190,476 152,585 21,614 14.2 36
2011 192,996 153,906 23,717 15.4 36
2012 196,206 155,393 23,900 15.4 33
2013 192,704 149,239 20,674 13.9 33
2014 193,508 151,802 23,660 15.6 32
2015 196,732 153,210 21,590 14.1 31
2016 196,358 154,340 21,768 14.1 35
2017 205,484 161,867 23,180 14.3 35
2018 209,129 163,578 22,996 14.1 37
平均 197,478 155,483 22,829 14.7 34

登録講習修了者

実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率(%) 合格点
2009 40,759 36,606 9,726 26.6 28
2010 37,738 33,957 6,697 19.7 31
2011 38,600 34,666 6,674 19.3 31
2012 40,144 35,776 8,100 22.6 28
2013 41,882 37,065 7,796 21 28
2014 44,835 40,227 10,010 24.9 27
2015 46,467 41,716 8,438 20.2 26
2016 49,384 44,123 8,821 20 30
2017 53,027 47,487 9,464 19.9 30
2018 56,315 50,415 10,364 20.6 32
平均 44,915 40,204 8,609 21.5 29

全体

実施年度 申込者数 受験者数 合格者数 合格率(%)
2009 241,944 195,515 34,918 17.9
2010 228,214 186,542 28,311 15.2
2011 231,596 188,572 30,391 16.1
2012 236,350 191,169 32,000 16.7
2013 234,586 186,304 28,470 15.3
2014 238,343 192,029 33,670 17.5
2015 243,199 194,926 30,028 15.4
2016 245,742 198,463 30,589 15.4
2017 258,511 209,354 32,644 15.6
2018 265,444 213,993 33,360 15.6
平均 242,393 195,687 31,438 16.1

まとめ

受験者数動向としては2010年をボトムに増加傾向にあります。

合格率と合格点は、
一般受験者の場合
合格率は最低13.9%、最高15.9%、平均では14.7%
合格点は最低31問、最高37問、平均では34問

登録講習修了者の場合
合格率は最低19.3%、最高26.6%、平均では21.5%
合格点は最低26問、最高32問、平均では29問

全体としては
合格率の最低15.2%、最高17.9%、平均では16.1%

となっています。

登録講習修了受験と一般受験の合格率の差は6%以上、確実に5問の正解がもらえる登録講習の優位性が顕著に表れています。
コストは多少かかりますが登録講習を受けることができる方は受講しておいた方がお得なようです。

一般受験の場合は目指すは40問、8割ということになりますね。

必要学習時間

資格取得に要する学習時間は一般的には250時間~350時間程度と言われています。

難易度

難易度としてはレベルC相当、比較的、取得し易い資格ということになります。

と言っても、一般受験の場合、合格できるのは6人に1人ですから決して侮れません。

宅建士登録

下記の資格登録要件を満たした場合試験を受けた都道府県知事に対し資格登録を行い、宅地建物取引士証の交付を受けた段階で宅建士となることができます。

資格登録要件

下記、3要件を全て満たした場合に登録が認められます。

1.宅建士資格試験合格
2.資格登録の申請時から過去10年以内における実務経験2年以上(注1)もしくは登録実務講習実施機関が行う登録実務講習(注2)の修了
3.登録の欠格事由に該当しないこと

(注1)
・求められているのは宅地建物取引業務における実務経験です。例え宅建業者に所属していても受付、人事、経理等の場合は実務経験に算入できません。又、勤務する宅地建物取引会社の従業員名簿に記載されていることも要件となっています。

・あまり古い実務経験は認められません。資格登録の申請時から過去10年以内における実務経験です。

・宅建業の免許が無くても宅建業の営業が可能な信託会社、信託銀行、国、地方公共団体、これらの出資により設立された法人において宅地建物取引業務に携わっていた場合も実務経験として算入できます。

(注2)
登録実務講習の内容ですが、まず通信講座で学習、講座終了後に2日間のスクーリングで物件調査手法、重要事項説明書・契約書作成方法を学び、最後に修了試験を受けて合格すれば修了証が交付されます。
合格率は99%、普通に受講していれば問題なく修了証は交付されます。
登録実務講習修了証の有効期間は10年です。
費用は20,000円前後、登録実務講習実施機関毎に異なります。

(注)講習関係についてはこちらでまとめてあります。↓

宅建士関連の講習(登録講習・登録実務講習・法定講習)について
宅建士関連には、下記の3つの講習が存在します。 ・登録講習 ・登録実務講習 ・法定講習 順に説明していきます。 登録講習 概要 「5点免除講習」とも呼ばれている講習で、宅地建物取引業に従事している方対象の講習です。 講習...

試験合格から資格登録・宅地建物取引士証交付までの流れ

・宅建士試験合格

三角印赤

・実務経験2年以上という要件を満たしていない場合、登録実務講習受講・修了

三角印赤

・資格登録申請

三角印赤

・資格登録

三角印赤

・宅地建物取引士証交付

(注)
試験合格から資格登録までの期間が1年を超えてしまうと、取引士証を交付してもらう為には法定講習も受講しなければならなくなりますので要注意です。
資格登録申請から資格登録まである程度の期間を要しますので資格登録申請は早めに済ませておきましょう。

宅建士関連の講習(登録講習・登録実務講習・法定講習)について

宅建士関連は、下記の3つの講習が存在します。

登録講習
登録実務講習
法定講習

(注)講習関係についてはこちらでまとめてあります。↓

宅建士関連の講習(登録講習・登録実務講習・法定講習)について
宅建士関連には、下記の3つの講習が存在します。 ・登録講習 ・登録実務講習 ・法定講習 順に説明していきます。 登録講習 概要 「5点免除講習」とも呼ばれている講習で、宅地建物取引業に従事している方対象の講習です。 講習...

宅建士資格と相性がいい資格

マンション管理士と管理業務主任者

まず同じ不動産関連という点でマンション管理士管理業務主任者があげられます。

マンション管理士はマンションで発生する諸問題についてマンション管理組合や住民の方にアドバイスを行うコンサルタントです。

管理業務主任者はマンション管理業者がマンション管理業務を請け負う際に必須となる資格です。

独立を考えるなら前者、就職・転職を考えるなら後者がターゲットです。

試験内容も重複している部分が多いので、宅建合格後速やかに受験すれば合格する確率も高くなります。

ファイナンシャルプランナー

その他にはファイナンシャルプランナーもシナジー効果が高い資格ですね。

不動産購入者に資産運用のプロとして土地の有効活用等の効率の良い資産運用をアドバイスできます。

宅建資格とFP資格のダブルライセンスで既存のクライアントの信頼も得やすくなりますし、新規顧客の獲得の可能性も高まります。

宅建士関連サイトリンク集

国土交通省
一般財団法人不動産適正取引推進機構
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会

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